WEBアプリ・ネイティブアプリの将来性は?ハイブリッドアプリ、PWAについても紹介W

「WEBアプリ」「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ」など、アプリケーションはニーズに合わせてさまざまなタイプが存在します。
WEBアプリ・ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリのどのタイプを開発すべきなのか、それぞれのタイプの違いを知りたいという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、WEBアプリ・ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリを比較し、メリット・デメリット、どんなサービスに向いているかを紹介し、WEBアプリのPWAや、ネイティブアプリのクロスプラットフォーム開発など、関連情報も解説します。そして、それぞれの将来性についても言及していきます。

目次

WEBアプリ

WEBアプリとは、インターネットにアクセスしてWEB上で機能するアプリケーションです。
インターネットのネットワーク上のWEBサーバーにプログラム本体があり、ユーザーがWEBアプリを使用する際には、ChromeやSafariなどのWEBブラウザ上で操作します。

WEBアプリの代表的なものとしては、日常的なメールサービスとして定着している「Gmail」や動画サービス「YouTube」、WEB上の便利な地図として広く活用されている「Google Maps」などがあげられます。

WEBサイトでアプリの機能を利用できるイメージです。

メリット

WEBアプリのおもなメリットとしては以下の点があげられます。

低工数・低コストで開発できる

WEBアプリは、HTML5、CSS、JavaScript、Ruby、PHPといった広く利用されているプログラム言語を使って開発できるため、対応できるエンジニアが多く、活用できるフレームワークの数も多いことから低工数・低コストで開発をすすめることができます。

機能改修がスムーズ

WEBアプリのプログラムの本体はインターネットのネットワーク上のWEBサーバーにあるため、新規機能の追加やプログラムの改善などの機能改修が必要になったときでも、本体のプログラムを改修するだけで済むので作業がシンプルでスムーズにすすみます。

端末のOSアップデートの影響をほぼ受けない

AndroidやiOSなど端末のOSのアップデートは近年巧妙化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化やシステムの安定化のために必ず実施していく必要がありますが、一方で、今まで使用できていたアプリケーションや周辺機器が使えなくなってしまうリスクをともないます。

その点、WEBアプリはWEBサーバー上に存在するため、AndroidやiOS端末のOSのアップデートの影響をほぼ受けません。

プラットフォームの審査不要

WEBアプリは、AppleやGoogleなどのプラットフォームの制限が無く、アプリケーションのリリースやアップデートの際にプラットフォームの厳格な審査もありません。

課金手数料が掛からない

WEBアプリはアプリケーションストアを経由しないため、アプリストアへの手数料は掛かりません。
(各種決済手段を利用する手数料はかかります)

検索エンジンでの自然検索で集客できるので集客単価が低い

WEBアプリはインターネット上に存在するアプリケーションであるため、適切なSEO対策を施すことで現在普及している大手検索エンジン(Google、Yahoo等)からの自然流入を期待できます。

一方で、アプリストアからインストールする必要があるネイティブアプリやハイブリッドアプリは、そのままでは大手検索エンジンからの自然流入は期待できず、集客用のコンテンツを制作するか、WEB広告等で集客する必要があります。

一度自然流入を獲得する基盤を構築できれば、広告で集客し続ける必要があるアプリストアを介するアプリと比較して、集客単価を抑えることが可能になります。

デメリット

WEBアプリのおもなデメリットとしては以下の点があげられます。

ブラウザに準拠した機能しか利用できない

WEBアプリはブラウザ上で動作するため、ブラウザに準拠した機能しか利用できません。

例えば、ブラウザ上で位置情報を利用することは可能ですが、バックグラウンドでの位置情報の利用など、出来ることに限りがあります。

そのような端末の機能をフルに活用する必要があるサービスには不向きです。

インターネット環境に影響を受ける

WEBアプリは、インターネットにアクセスしないと使えないため、インターネット環境に大きく影響を受けます。

インターネットの通信環境が悪いと動作速度が遅くなり、インターネット接続できない場所では使用することができません。

サービスの継続利用を促し辛い

一般的なWEBアプリは、スマホのホーム画面にアイコンが設置されません。

継続的に利用してもらうには、都度検索エンジンで検索したり、ブックマークに保存してもらうなど、手間がかかります。

そのため、スマホユーザーが簡単にWEBアプリサービスを利用する可能性は、後述するネイティブアプリと比較して低くなります。

向いているサービス

WEBアプリのメリットからも分かるように、WEBアプリは、新規事業やスタートアップをスモールスタートで立ち上げる際や、端末の性能や機能をあまり活用しないサービス(ニュースサイトなど)に向いています。

向かないサービス

WEBアプリのデメリットからも分かるように、WEBアプリはユーザー同士のリアルタイムなやり取りが必要なサービス(メッセージのやり取りが必要なマッチングアプリ)などや、端末の機能や性能をフルに活用する場合(ゲームなど)には向いていません。

PWA(Progressive Web Apps)

PWA(Progressive Web Apps)とは、WEBアプリでありながら後述するネイティブアプリと同じような感覚で使うことができるアプリケーションで、Googleが提案したのち近年浸透がすすんでいます。

PWAとして見なされるためには、以下の要件を満たす必要があります。

Discoverable: コンテンツを検索エンジンで見つけることができる。
Installable: アプリは端末のホーム画面に追加できる。
Linkable: URL を送るだけでアプリを共有できる。
Network independent: オフラインか、あるいは貧弱なネットワーク環境でも使用できる。
Progressive: 古いブラウザーでも基本的な機能は使用でき、最新のブラウザーではすべての機能が使用できる。
Re-engageable: 新しいコンテンツがあるときには、通知を送ることができる。
Responsive: 携帯電話やタブレット、ノートパソコン、テレビ、冷蔵庫など、画面とブラウザーを備える全ての端末で使用できる。
Safe: アプリからの通信が第三者からの攻撃に対して安全であり、機密情報を保護できる。

プログレッシブウェブアプリの紹介 – プログレッシブウェブアプリ | MDN

PWAに対応することで、従来WEBアプリではできなかった、「スマホのホームにアイコン追加」「コンテンツを端末に保存しネットが繋がってない環境でも利用」などの機能が利用できます。

2023年3月にiOS16.4がリリースされ、Safariのブラウザでプッシュ通知が可能になりました。

そのため、現状ではiPhoneなどiOSユーザー向けのプッシュ通知が必要なサービスにはPWAは活用できません。

ネイティブアプリ

ネイティブアプリとは、スマートフォンなどのデバイスにインストールして使用するアプリケーションです。

ネイティブアプリの多くはApp StoreやGooglePlayなどのアプリケーションストアで提供され、無料のものから有料のものまで多種多様のアプリが提供されています。

メリット

ネイティブアプリのおもなメリットとしては以下の点があげられます。

端末の機能や性能をフルに活かせる

ネイティブアプリはスマホ端末にインストールしてスマホ端末上で使用するため、スマホの機能や性能をフルに活かすことができます。
たとえば、プッシュ通知、カメラ、GPSなどの機能と連携したネイティブアプリが提案されています。

ニーズに合わせた多種多様のネイティブアプリが登場し、次々と新たなアプリが開発されています。

全ての端末でプッシュ通知が可能

WEBアプリではiOS端末ではプッシュ通知を利用することが出来ませんでしたが、ネイティブアプリ化することで、iOSでもプッシュ通知を利用することが可能になります。

そのため、全ての端末でプッシュ通知が可能となり、ユーザー同士のメッセージのやり取りが必要なサービスなど、プッシュ通知を活用することが前提となっているサービスでも全ユーザーに同じ体験を提供することが可能になります。

LTV向上

ネイティブアプリは、ユーザーがスマホ端末にダウンロードしてくれさえすれば、スマホのホーム画面にアイコンが設置されます。
継続的に使用される可能性が高くなり、LTV(顧客生涯価値)の向上につながります。LTV(ライフタイムバリュー)は1人あたりのユーザーがアプリを使用するにあたり、生涯どれくらいの利益を生んでもらえるかの指標になります。

インターネットが繋がっていない場所でも使える

ネイティブアプリを操作するためのデータは端末にダウンロード・インストールされるため、ネットを介する必要がないサービスはインターネットにつながっていないオフラインでも利用可能です。

モバイルデバイスにインストールし常に持ち歩き、インターネットが繋がっていない場所でも使えます。

支払いのしやすさ(促しやすさ)

ネイティブアプリの多くはApp StoreやGooglePlayなどのアプリケーションストアで提供されるなめ、アプリケーションストアで既にクレジットカードなどの支払い方法を設定してある場合、そのデータを利用して課金誘導することが可能となります。

デメリット

ネイティブアプリのおもなデメリットとしては以下の点があげられます。

ストア審査や手数料

ネイティブアプリをApp StoreやGooglePlayなどのアプリケーションストアを通して提供するときやアップデートを実行するためには、厳格なストア審査を合格しなければなりません。

特にApp Storeの審査は厳しいと言われており、GooglePlayでOKでもApp StoreでNGだった事例がよくあります。

また、アプリ内課金での売上が出た際には、手数料を支払わなければなりません。
(物理的な商品やサービスは除きます)

OSアップデートの影響

ネイティブアプリはWEBアプリと異なり、利用端末のOSのアップデートの影響を強く受けますので注意が必要です。

例えば、古いOSバージョンへの対応工数がかさみ始め対応を切り捨てる必要が出てくるなど、全てのOSバージョンで動作を保証することが難しくなります。

iOS、Androidで別の言語なので費用や工数がかさむ

ネイティブアプリの開発では、iOS、Androidで開発言語が異なるため、それぞれに対して開発をすすめなければならないため、費用や工数がかさみます。

ストアからインストールしてもらう手間がかかる

ネイティブアプリを使うためには、ユーザーがApp StoreやGooglePlayなどのアプリケーションストアからアプリをインストールする必要があるため、やや手間がかかります。

集客単価が高い

ネイティブアプリはインターネット上に公開するアプリケーションではないため、現在普及している大手検索エンジン(Google、Yahoo)を経由した自然検索での集客を期待できません。

そのため、自然検索で集客出来ているWEBアプリと比較すると、集客単価が高くなる傾向があります。

WEBアプリと同様な集客をしようと思うと、集客用のWEBコンテンツの作成や、WEB広告を配信するなどの手間とコストがかかります。

向いているサービス

ネイティブアプリのメリットからも分かるように、スマホならではの体験を実現したいサービス(ゲームなど)や、GPSやカメラ、ジャイロセンサーなど端末の機能をフルに活用するサービスに向いています。

向かないサービス

端末の機能や性能をそこまで活用しないサービスを、わざわざ時間や費用をかけてネイティブアプリ化するメリットは少ないでしょう。
そういった場合は、前述したウェブアプリや後述するハイブリッドアプリで十分な場合が多いです。

また、集客にあまり力を入れられない場合は、せっかくアプリを完成させてもユーザーを獲得出来ずに終わってしまう場合があるでしょう。

クロスプラットフォーム開発

クロスプラットフォーム開発では、iOSやAndroidなど複数の環境で動かすことができるプログラムを、一つの開発環境で開発します。

従来のネイティブアプリの開発では、iOS、Androidで開発言語が異なるため、それぞれに対して開発をすすめなければならず、生産性や品質の管理に課題がありました。

クロスプラットフォーム開発では、その解決策のひとつとして期待されており、代表的なものに2018年にGoogleが開発したFlutterなどがあります。

Flutterは、iOS、Androidの両方のアプリの構築を目指すものですが、OSの機能に大きく依存する箇所については、ネイティブの言語で実装する必要があります。

Flutter以外にも様々な開発環境があり、メリット・デメリットは開発環境によって異なります。

ハイブリッドアプリ

ハイブリッドアプリとは、WEBアプリとネイティブアプリの両方の要素を持ち合わせているアプリです。

ハイブリッドアプリはアプリを端末にインストールし、カメラなど端末の機能を使えますが、コンテンツはWEBから都度参照します。

アプリの見た目・外側はネイティブアプリとほぼ同じで、中身はWEBアプリというイメージです。

コンテンツの中身は共通のコードで開発できるため、開発工数や費用を削減することが可能です。

メリット

ハイブリッドアプリのおもなメリットとしてはWEBアプリとネイティブアプリの両方のメリットを併せ持つ以下の点があげられます。

  • カメラなど端末の機能をフルに使える
  • 低工数で開発可能
  • ネイティブアプリと比較して端末OSアップデートの影響をあまり受けない
  • iOSでもプッシュ通知が可能
  • LTV向上
  • 既にWEBにコンテンツを持っていればその資産を活用できる

デメリット

ハイブリッドアプリのおもなデメリットとしてはWEBアプリとネイティブアプリの両方のデメリットを含んだ以下の点があげられます。

  • アプリケーションストアで提供されるためストア審査や手数料がかかる
  • ストアからインストールしてもらう必要があるのでユーザーに手間がかかる
  • WEBアプリと比較して集客単価が高い
  • ネイティブアプリと比べるとリッチな表現が難しい

向いているサービス

ハイブリッドアプリのメリットからも分かるように、ハイブリッドアプリは、既にWEBサービスを行っている場合や、高機能である必要はないがiOSでもプッシュ通知を活用したいときなどに向いています。

向かないサービス

ハイブリッドアプリのデメリットからも分かるように、ハイブリッドアプリは高機能を要求されるサービスや、スマホならではのリッチな体験を実現したい場合には向いていません。

webアプリとネイティブアプリ、それぞれの将来性

これからサービスやアプリを開発するにあたって、webアプリとネイティブアプリが今後どうなっていくのかは、無駄なコストを生まないためにも、気になるところです。

昨今新しい技術の誕生や、改善が繰り返されており、現状ではどのような判断が適切でしょうか。

webアプリとネイティブアプリの境界線は曖昧になりつつある

2015年頃よりPWAが提唱され始め、webアプリもネイティブアプリのように、ホーム画面にインストールでき、プッシュ通知、キャッシュを利用してのオフラインでの利用が可能になりました。しかし、当初はiOSではプッシュ通知ができないなどOSによって不可能なこともありました。

それから時を経て2023年3月にiOS16.4がリリースされ、iOSでもsafariブラウザでのプッシュ通知が可能になったことなどを踏まえ、徐々にwebアプリとネイティブアプリとの境界線が曖昧になってきています。

現状では、webアプリかネイティブアプリかはそれぞれの特徴で選択を

とはいえ、デバイスが持つ機能を充分に生かせるネイティブアプリはまだまだ需要があります。どのようなサービスを提供するかによっては、ネイティブアプリの高いパフォーマンスが必要なこともあるでしょう。

今後はwebアプリとネイティブアプリがどう進化していくかは見えないところもありますが、今後注目すべきところでしょう。

まとめ

近年は、「WEBアプリ」「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ」など、ニーズに合わせてさまざまなタイプのアプリが出現しています。

今回は、WEBアプリ・ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリを比較し、メリット・デメリット、どんなサービスに向いているかを紹介しました。

今回の記事によって、それぞれのタイプの違いを理解し、どのタイプを開発すべきなのか想定できるようになったのではないでしょうか。

アプリケーションの進化は目覚ましく、PWAやクロスプラットフォーム開発なども将来的にはさらに精度が高くなることが予測されます。

アプリの開発言語について詳しく知りたい方はこちらで詳しく解説していますので、よかったらご覧ください。

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